外皮用薬に配合される抗菌・抗真菌成分の一覧を作りました。また、にきび、みずむし等の原因や対策もまとめています。各成分には必要最低限押さえておきたいキーワードを箇条書きしています。詳しい説明やイラストはリンクからご覧ください。
また、外皮用薬全体の共通点等は下記のページでまとめています。
外皮用薬(皮膚に用いる薬)の全体としての説明や共通点など
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抗菌成分(にきび、吹き出物等に用いる成分)
原因やケア方法
- にきび、吹き出物は、最も一般的に生じる化膿性皮膚疾患(皮膚に細菌が感染して化膿する皮膚疾患)
@ - 発生要因
①ストレス、食生活の乱れ、睡眠不足など→新陳代謝機能が低下→毛穴の皮脂や古い角質が溜まる
②老廃物がつまった毛穴の中で皮膚常在菌のアクネ菌(にきび桿菌)が繁殖する
③アクネ菌が遊離脂肪酸によって周囲が炎症→他の細菌の感染誘発→膿疱、膿腫
*これらがひどくなると、色素沈着を起こして赤くしみ、クレーター状の瘢痕が残る
@ - ケア・改善方法
①洗顔等で皮膚を清浄に保つこと
②潰したり、無理に膿を出さない(跡が残りやすくなる)
③ストレス等を取り除く
④規則正しい生活習慣(バランスの取れた食習慣、十分な睡眠等)
⑤油分の多い化粧品はにきびを悪化させるおそれ→水性成分のものを選択する
その他の皮膚症状
- 毛嚢炎(もうのうえん)【別名:疔(ちょう)】
①黄色ブドウ球菌などの化膿菌が毛穴から侵入し、皮脂腺、汗腺で増殖して生じた吹き出物
②アクネ菌の原因ではない
③にきびに比べて痛みや腫れが顕著
④毛嚢炎が顔面に生じたものを面疔(めんちょう)という
@ - とびひ(伝染性膿痂疹)
①虫さされやあせも、掻き傷などから化膿菌が侵入したもの
②水疱やかさぶた、ただれを生じる
③小児に発症することが多い
④水疱が破れ液が付着すると拡がるおそれ
成分
- サルファ剤
@
①スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルファジアジン、ホモスルファミン、スルフイソキサゾール
*「スルファ」or「スルフイ」と付くものがサルファ剤
②細菌のDNA合成を阻害
@ - バシトラシン
細菌の細胞壁合成を阻害
@ - 硫酸フラジオマイシン、クロラムフェニコール
細菌のタンパク質合成を阻害
抗真菌成分(みずむし、たむし等に用いる成分)
原因
- みずむし、たむし等は、皮膚糸状菌(白癬菌)が皮膚に寄生することによって起こる疾患(表在性真菌感染症)
- スリッパやタオルなどを介して、他の保菌者やペットから皮膚糸状菌が感染することも多い
- 発生する部位によって呼び名が変わる
みずむし(手足)、ぜにたむし(胴や四肢)、いんきんたむし(内股・尻・陰嚢付近)、爪白癬(爪)、頭部白癬(頭部)
みずむし(手足)
- ほとんどの場合は足に生じるが、まれに手に生じる
- 病型により3つに分類
①趾間型(しかん)
指の間の皮が剥ける、ふやけて白くなる、亀裂、ただれ
②小水疱型
足底に小さな水疱が生じ、ときに膿疱、 ただれが混じる
③角質増殖型
足底全体に紅斑と角質の増殖を生じる。強い痒みはなく、みずむしとして自覚されにくい - 足(特に、指の間)を毎日石鹸で洗う等して清潔に保ち、なるべく通気性を良くしておくなど、みずむしが発生しにくい環境作りが重要
剤形の選択
- 軟膏・クリーム→じゅくじゅくしている患部に
- 液剤→厚く角質化している患部に。浸透性が高いが、刺激が強い
- 湿疹とみずむし等とはっきりしない場合は抗真菌成分が入った医薬品は使用しない(湿疹に使用する悪化するおそれ)
成分
※抗真菌成分の共通事項
化膿している部分_禁止
- イミダゾール系抗真菌成分
@
①オキシコナゾール硝酸塩、ネチコナゾール塩酸塩、ビホナゾール、スルコナゾール硝酸塩、エコナゾール硝酸塩、クロトリマゾール、ミコナゾール硝酸塩、チオコナゾール
*すべてにゾールが付く
②皮膚糸状菌の構成成分の産生を妨害、細胞膜の透過性を変化→増殖抑制
③かぶれ、腫れ、刺激感_副作用
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アモロルフィン塩酸塩、ブテナフィン塩酸塩、テルビナフィン塩酸塩
①すべて”フィン塩酸塩”
②皮膚糸状菌の構成成分の産生を妨害、細胞膜の透過性を変化→増殖抑制
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- シクロピロクスオラミン
皮膚糸状菌の増殖・生存に必要な物質の輸送機能を妨害→増殖抑制
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- ウンデシレン酸
酸性にして皮膚糸状菌の発育抑制
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- ピロールニトリン
①菌の呼吸や代謝を妨害→増殖抑制
②単独での抗真菌作用は弱い、組み合わせて配合
@ - トルナフタート
@ - エキサラミド
@ - モクキンピ(生薬)
①アオイ科のムクゲの幹皮
②皮膚糸状菌の増殖抑制