九州・沖縄ブロックの平成21年度(2009年)の登録販売者試験の問題(過去問)について、第3章の漢方・生薬からの出題を解説します。
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当ページについて
- 試験問題や回答については下記の福岡県のwebサイトからこれらを確認し、解説等を作成しています。福岡県ホームページ(登録販売者試験に関するページ)*実際の過去問のPDFも無料で取得できます。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県共通した問題です。
- このページでは、漢方および生薬に関するものに焦点を当てて解説しています。従いまして、問題については一部を抜粋したものとなっております。
- 過去問の回答を含んでいますのでご了承の上閲覧ください。
- 平成21年度の試験問題の解説のため、試験作成に関する手引き(平成 28 年 3 月正誤表反映版)に記載のある言い回し(漢方の説明など)とは若干異なる点がある場合がございます(誤りではありません)。それぞれの漢方や生薬のリンクページに記載のあるものは、試験作成に関する手引き(平成 28 年 3 月正誤表反映版)に基づいて解説しているものとなっていますので、気になる場合にはそちらをご参照ください。
漢方・生薬 問題の出題傾向
漢方・生薬から8問出題されています。
そのうち、全問漢方についての問いが5問出題、全問生薬についての問いが1問、その他項目を合わせた複合問題が2問でした。
登録販売者試験が始まってから間もないためかかなり少ないですね。簡単な問題が多いです。
下記のページでも漢方の出題パターンをまとめていますので、よかったらご活用ください!試験で漢方・生薬を捨てるのはもったいないですので、苦手意識のある方も是非^ ^
問63(全問生薬)
以下の生薬成分のうち、微量で強い強心作用を示し、皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示す成分を下から一つ選びなさい。
正答 3
センソの記述です。シナヒキガエル等の毒腺の分泌物には局所麻酔作用もあるんですね。
他の生薬については各リンク先のページをご覧下さい。
問65(全問漢方)
以下の記述に当てはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを下から一つ選びなさい。
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人における、高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘の症状に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。また、小児に対する適用はない。また、本剤を使用するときには、他の瀉下薬との併用は避けることとされている。
正答 3
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)の記述です。キーワードは”腹部に皮下脂肪が多く”。
各キーワードは以下のとおり(注意)キーワード=効用ではありません。
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)→赤鼻(酒さ)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)→二日酔い
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)→水ぶとり
問69(全問漢方)
以下の漢方処方製剤のうち、胃の不調を改善する目的で用いられるものの正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)
正答 3
イ)人参湯(にんじんとう)、ウ)六君子湯(りっくんしとう)が胃症状に適応する漢方です。
ア)八味地黄丸(はちみじおうがん)は主に排尿異常、エ)加味逍遙散(かみしょうようさん)は月経に伴う症状や更年期障害に適応する漢方ですので誤りです。
問74
以下の痔疾用薬成分について、局所麻酔作用により痔に伴う痛みや痒みを和らげる作用をもつものを一つ選びなさい。
- リドカイン
- 塩酸ジフェンヒドラミン
- 塩酸メチルエフェドリン
- 塩化ベンザルコニウム
- シコン
正答 1
シコンは新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して用いられます。
問83(全問漢方)
漢方処方製剤に関する以下の記述の正誤について、正しいものを下から一つ選びなさい。
ア)漢方処方製剤は、用法用量において適用年齢の下限が設けられていない場合であって 、生後3ヶ月未満の乳児には使用しないこととされている。
イ)一般用医薬品として販売される漢方処方製剤は作用が穏かなので、副作用が報告された製剤はない。
ウ)陰 陽 五 行説は、人体の臓器を五臓六腑に分け、それぞれの臓器が相互に作用し合って生体のバランスを取っている、という考え方に基づいて処方を選択する考え方である。
エ)虚証とは、体内の臓器を働かせるエネルギーの貯蔵量が多い体質をいい、実証とは、体内の臓器 を働かせるエネルギーの貯蔵量が少ない体質をいう。
**アイウエ
1正誤誤誤
2誤正正誤
3正誤正誤
4正正誤正
5誤誤正正
正答 3
イ)は明らかにおかしな記述です。
エ)虚証と実証との記述がそれぞれ逆です。知識がなくても日本語の理解だけで解けそうな問題。
問84(全問漢方)
以下の漢方処方製剤のうち、痔疾患に用いられるものを一つ選びなさい。
正答 5
いぼ痔(じ)、切れ痔(じ)には乙字湯(おつじとう)と覚えましょう、キーワードは”じじじ”です!よって乙字湯(おつじとう)の記述です。
1〜4までの漢方は主に排尿異常に適するものですので誤りです。
問88(全問漢方)
以下の記述に当てはまる漢方処方製剤として、最も適切なものを下から一つ選びなさい。
かぜのひき始めにおける諸症状、頭痛、肩こり、筋肉痛、手足や肩の痛みに適すとされるが、体の虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人では、悪心、胃部不快感等の副作用が現れやすい等、 不向きとされる。まれに重篤な副作用として肝機能障害を生じることが知られている。
正答 5
葛根湯(かっこんとう)の記述です。キーワードは”かぜのひき始め”や”肩こり”でしょうか。一番有名な漢方なので皆さんも使ったことがあるかもしれませんね。
それにしてもいろんなタイプの漢方をごちゃまぜにして出題されてますね・・
他の漢方については各リンク先のページをご覧下さい。
問94
腸に作用する薬に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア)塩酸ロペラミドは、食あたりや水あたりによる下痢に適応される。
イ)止瀉成分であるタンニン酸アルブミンに含れるアルブミンは、牛乳に含れる 蛋白質(カゼ イン)から精製された成分であるた 、牛乳にアレルギーがある人では使用を避ける必要がある。
ウ)医薬品として使用されるクレオソートは、原料として石炭が使用される。
エ)ヒマシ油は、急激で強い瀉下作用( 峻下作用)を示すた 、3歳未満の乳幼児等では使用を避けることとされている。
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4 (ウ、エ)
正答 4
エ)ヒマシ油は、正しい記述です。ちなみに小腸刺激性ということも押さえておいてください。