九州・沖縄ブロックの平成28年度(2016年)の登録販売者試験の問題(過去問)について、第3章の漢方・生薬からの出題を解説します。
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目次
当ページについて
- 試験問題や回答については下記の福岡県のwebサイトからこれらを確認し、解説等を作成しています。福岡県ホームページ(登録販売者試験に関するページ)*実際の過去問のPDFも無料で取得できます。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県共通した問題です。
- このページでは、漢方および生薬に関するものに焦点を当てて解説しています。従いまして、問題については一部を抜粋したものとなっております。
- 過去問の回答を含んでいますのでご了承の上閲覧ください。
漢方・生薬 問題の出題傾向
漢方・生薬から16問出題されています。
そのうち、全問漢方についての問いが4問出題、全問生薬についての問いが1問、全問漢方・生薬についての問いが1問、その他項目を合わせた複合問題が10問でした。
漢方は複合問題では問われていませんが割合的は多い印象です。ですが、出題された漢方はすべてが”独自のキーワード”から割り出せる問題であり、カンゾウを含む・含まない等の問いはなかったので難易度はそこまで高くはありません。
下記のページでも漢方の出題パターンをまとめていますので、よかったらご活用ください!試験で漢方・生薬を捨てるのはもったいないですので、苦手意識のある方も是非^ ^
問64(全問漢方)
鎮痛の目的で用いられる漢方処方製剤に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
- 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は、体力に関わらず、筋肉の急激な 痙 攣 を伴う痛みのあるもののこむらがえり、筋肉の痙 攣、腹痛、腰痛に適する。
- 疎経活血湯(そけいかっけつとう)は、体力中等度で痛みがあり、ときにしびれがあるものの関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛に適する。
- 釣藤散(ちょうとうさん)は、体力中等度で、慢性に経過する頭痛、めまい、肩こりなどがあるものの慢性頭痛、神経症、高血圧の傾向のあるものに適する。
- 呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、体力虚弱で、汗が出、手足が冷えてこわばり、ときに尿量が少ないものの関節痛、 神経痛に適する。
正答 4
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、『体力中等度以下で手足が冷えて肩がこり、ときにみぞおちが膨満するものの頭痛、頭痛に伴う吐きけ・嘔吐、しゃっくりに適すとされる。』という記述です。
4の記述は、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)・桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)のものです。
問68
咳 止め・ 痰 を出しやすくする薬(鎮 咳 去 痰 薬)に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア)鎮咳作用を期待して、ゴミシのような生薬成分が配合されている場合がある。
イ)デキストロメトルファンフェノールフタリン塩は、主にトローチ剤・ドロップ剤に配合される。
ウ)メチルエフェドリン塩酸塩、メトキシフェナミン塩酸塩等のアドレナリン作動成分は、交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして 咳 や 喘 息の症状を鎮めることを目的として用いられる。
エ)痰 の切れを良くする成分(去 痰 成分)として、気道粘膜からの粘液分泌を促進する目的で、カ ルボシステインが配合されている場合がある。
**アイウエ
1正正正誤
2正正誤正
3正誤正誤
4誤正誤誤
5誤誤正正
正答 1
ア)は生薬についての問題です。正ですね。咳こみとゴミシをかけて”咳ゴミシ”と覚えましょう!
問69(全問漢方・生薬)
咳止めや 痰 を出しやすくする目的で用いられる漢方処方製剤及び生薬成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア)半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)は、体力中等度をめやすとして、幅広く応用できる。気分がふさいで、咽喉・食道部に異物感があり、ときに動悸、めまい、 嘔気などを伴う不安神経症、神経性胃炎、つわり、咳、しわがれ声、のどのつかえ感に適する。
イ)柴朴湯(さいぼくとう)は、体力中等度で、気分がふさいで、咽喉、食道部に異物感があり、かぜをひきやすく、ときに動悸、めまい、 嘔気などを伴うものの小児喘息、気管支喘息、気管支炎、 咳 、不安神経症に適すが、むくみの症状のある人等には不向きである。
ウ)キョウニンは、バラ科のホンアンズ、アンズ等の種子を基原とする生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳 嗽中枢を鎮静させる作用を示す。
エ)バクモンドウは、ユリ科のジャノヒゲの根の膨大部を基原とする生薬で、鎮 咳 、去痰 、滋養強壮等の作用を期待して用いられる。
**アイウエ
1正正正正
2正正誤正
3正誤正誤
4誤正正誤
5誤誤誤正
正答 1
すべて正しい記述です。
問70
胃腸に作用する医薬品成分とその期待される作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ 選びなさい。
成分 – 作用
ア)スクラルファート – 唾液や胃液の分泌を抑制する
イ)オウバク – 胃酸の働きを弱める
ウ)グリチルリチン酸二カリウム – 胃粘膜の炎症を和らげる
エ)ピレンゼピン塩酸塩 – 胃液の分泌を抑制する
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
正答 4
オウバクは胃液の分泌を促す健胃作用ですので、(イ)の記述は誤りです。
この問題では問われていませんが、”苦味”による健胃作用ということも大事なワードです。
問72
胃腸鎮痛鎮痙薬に配合される成分とその副作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
成分 副作用
ア ブチルスコポラミン臭化物- 散瞳
イ パパベリン塩酸塩- 胃酸分泌抑制
ウ アミノ安息香酸エチル – メトヘモグロビン血症
エ ロートエキス-下痢
1(ア、ウ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(イ、エ)
正答 1
ロートエキスは抗コリン成分なので副作用は便秘ですね。従って(イ)の記述は誤りです。
問73
一般用医薬品の強心薬及びその配合成分に関する以下の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
- 強心薬は、生活習慣病による重度の心臓の働きの乱れについて、心臓の働きを整えて、動悸や息切れ等の症状の改善を目的とする医薬品である。
- 強心薬は、骨格筋に作用して、その収縮力を高めるとされる成分(強心成分)を主体として配合される。
- センソは、ヒキガエル科のシナヒキガエル等の毒腺の分泌物を集めたものを基原とする生薬で、微量で強い強心作用を示す。
- ゴオウは、シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない、若しくは、わずかに角化した幼角を基原とする生薬で、強心作用の他、強壮、血行促進等の作用があると される。
正答 3
ゴオウはウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石で末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用のある生薬です。
4はロクジョウについての記述です。
問77(全問漢方)
腸の不調を改善する目的で用いられる漢方処方製剤に関する以下の記述について、正しいものを下 から一つ選びなさい。
体力中等度以下で、ときに便が硬く塊状なものの便秘、便秘に伴う頭重、のぼせ、湿 疹 ・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔の緩和に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。 また、本剤を使用している間は、他の 瀉下薬の使用を避ける必要がある。
正答 4
麻子仁丸(ましにんがん)には”便が硬く塊状なものの便秘”という独自のキーワードがあります。これから正解が割り出せますね。
他の漢方については各リンク先のページをご覧下さい。
問78
循環器用薬に配合される成分に関する以下の記述の正誤について、正しい組み合わせを下から一つ 選びなさい。
ア)コウカには、末梢の血行を促して鬱血を除く作用があるとされる。
イ)ユビデカレノンは、エネルギー代謝に関与する酵素の働きを助ける成分で、摂取された栄養素からエネルギーが産生される際にビタミンB群とともに働く。
ウ)ヘプロニカート、イノシトールヘキサニコチネートは、いずれの化合物もニコチン酸が遊離し、そのニコチン酸の働きによって末梢の血液循環を改善する作用を示すとされる。
エ)ルチンは、ビタミン様物質の一種で、高血圧における毛細血管の補強、強化の効果を期待して用いられる。
**アイウエ
1正正正正
2正正誤誤
3正誤正正
4誤正正誤
5誤誤誤正
正答 1
ア)のコウカは正しい記述です。
問81
婦人薬とその適用対象となる体質・症状等に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを 下から一つ選びなさい。
ア)更年期においては、月経周期が不規則になるほか、不定愁訴として血の道症の症状に加え、冷え 症、腰痛等の症状が起こることがあり、こうした症候群を更年期障害という。
イ)月経の約10~3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症 状や感情の不安定、興奮、抑鬱などの精神症状を主体とするものを、月経前症候群という。
ウ)月経の周期には、視床下部や下垂体で産生されるホルモンと、子宮で産生される女性ホルモンが 関与している。
エ)オウレンは鎮静、鎮痛のほか、女性の滞っている月経を促す作用を期待して婦人薬に配合される。
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)
正答 1
エ)の記述はコウブシ、サフランのものです。
オウレンも婦人薬に使われることがありますが、”胃腸症状に対する効果を期待”され配合されるものです。
問82(全問漢方)
女性の月経や更年期障害に伴う諸症状の緩和に用いられる漢方処方製剤に関する以下の記述につい て、正しいものを下から一つ選びなさい。
体力中等度で皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせるものの月経不順、月経困難、血の道症、 更年期障害、神経症、湿疹 ・皮膚炎に適すとされるが、胃腸が弱く下痢しやすい人では胃部不快感、 下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
正答 4
女性の月経や更年期障害の漢方についての問題ですが、キーワード的には”皮膚はかさかさ”がとても重要です。ということで正解は温清飲(うんせいいん)です。この漢方は皮膚炎にも適応があるんです。
他の漢方については各リンク先のページをご覧下さい。
問83
アレルギー用薬に配合される成分に関する以下の記述のうち、誤っているものを一つ選びなさい。
1 )抗ヒスタミン成分は、ヒスタミンの働きを抑える作用以外に抗コリン作用も示すため、排尿困難 や口渇、便秘等の副作用が現れることがある。
2 )ベラドンナはナス科の草本で、その葉や根に、交感神経系の働きを抑える作用を示すアルカロイドを含む。
3 )プソイドエフェドリン塩酸塩は、他のアドレナリン作動成分に比べて中枢神経系に対する作用が 強く、副作用として不眠や神経過敏が現れることがある。
4)クロルフェニラミンマレイン酸塩は、ヒスタミンの働きを抑える作用を示す成分として用いられ る。
正答 2
ベラドンナは抗コリン成分ですので、”副”交感神経の働きを抑える作用ですね。典型的はひっかけ問題ですが、しっかりと問題を読めば楽勝です。
問92
【主な医薬品とその作用】
頭皮・毛根に作用する医薬品成分に関する以下の記述について、正しいものを下から一つ選びなさい。
末梢組織(適用局所)においてアセチルコリンに類似した作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根へ の血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。副作用として、局所又は全身性の発汗、そ れに伴う寒気、震え、吐きけが現れることがある。
正答 4
2、3、5の生薬の作用等は各リンク先のページをご覧下さい。
問96(全問生薬)
生薬成分と主な作用の関係について、正しい組み合わせを下から一つ選びなさい。
生薬成分 主な作用
ア)ブシ ―鎮痛作用
イ)シコン ― 新陳代謝促進作用
ウ)サイコ ― 利尿作用
エ)ヨクイニン ― 強心作用
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
正答 1
サイコは抗炎症、解熱、鎮痛作用。
ヨクイニンは肌荒れやいぼに。
どちらも全く異なる作用ですね。。(-。-;
問97(全問漢方)
漢方処方製剤に関する以下の記述のうち、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
ア)清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)は、体力が充実して脇腹からみぞおちあたりにかけて苦しく、便秘の傾向があるものの胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症に適すとされる。
イ)大柴胡湯(だいさいことう)は、体力中等度以上で、赤ら顔でときにのぼせがあるもののにきび、顔面・頭部の湿 疹・皮膚炎、赤鼻(酒さ)に適すとされ、構成生薬としてカンゾウを含む。
ウ)黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向の あるものの鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸、更年期障害、湿 疹 ・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎に適すとされる。
エ)防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの肥満に伴う関 節痛、むくみ、多汗症、肥満(筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)に適すとされ、構成生薬 としてカンゾウを含む。
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)
正答 4
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は”二日酔い”、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は”水ぶとり”がキーワードです。
ア)清上防風湯(ぜいじょうぼうふうとう)とイ)大柴胡湯(だいさいことう)それぞれの記述が逆になってますね。