今回は殺虫剤・忌避剤の成分を一覧にしてまとめます。トーハンの勉強が初めての人は殺虫剤なのに医薬品?と疑問に思うかもしれません(私はそうでした)が、殺虫剤・忌避剤は医薬品または医薬部外品の法規制対象となっています。
人体の危機を(未然に)守る!という意味では殺虫剤も医薬品と同じでしょうか。まあ単純に試験対策としては、そこまで深く考えなくてもいいですけど^^;
スポンサーリンク
衛生害虫の種類
長々と書いていますが、この項目は流す程度に見ておくだけでもいいでしょう。勉強しなくも、一般常識(それだけ害虫で嫌な思いをしている人は多い!)でなんとなく解けそうな気もします。試験で問われやすい、また、個人的に重要に思う箇所は太文字にしてます。
- ハエ(イエバエ、センチニクバエ等)
①有害な病原菌や様々な病原体を媒介
②人の体内や皮膚などにウジが潜り込む(ハエ蛆症)
③ハエの防除の基本は、ウジの防除→有機リン系殺虫成分
④薬液が浸透しない場合などは成虫の防除→調製をせずに使用できる医薬部外品の殺虫剤(エアゾールなど)や、ハエ取り紙など - 蚊(アカイエカ、シナハマダラカ等)
①吸血によって皮膚に発疹や痒みを引き起こす。日本脳炎、マラリア、黄熱、デング熱等の重篤な病気を媒介
②水のある場所に産卵→幼虫(ボウフラ)となり繁殖。水系に殺虫剤を投入で羽化するまでに防除
③人が蚊に刺される場所と蚊が繁殖する場所が異なる→種類による生息、発生場所に合わせた防除が必要
④成虫の防除→調製をせずに使用できる医薬部外品の殺虫剤(エアゾールなど)
⑤野外では忌避剤を→吸血の防止 - ゴキブリ(チャバネゴキブリ、クロゴキブリ等)
①食品にサルモネラ菌、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、ボツリヌス菌、O-157大腸菌等を媒介。アメーバ赤痢等の中間宿主
②暗所、風のない場所、水分のある場所、暖かい場所を好む
③燻蒸処理を行う場合、ゴキブリの卵は医薬品の成分が浸透しない殻で覆われているため、殺虫効果を示さない→3週間位後にもう一度燻蒸処理を行い、孵化した幼虫を駆除 - シラミ
①ヒトに寄生するシラミ(コロモジ ラミ、アタマジラミ、ケジラミ等)は、吸血箇所の激しい痒みと日本紅斑熱や発疹チフス等の病原細菌であるリケッチアの媒介
*ヒト以外の動物に寄生するシラミがヒトに寄生して直接的な害を及ぼすことはない
②物理的な防除方法→散髪 や洗髪、入浴による除去、衣服の熱湯処理など
③医薬品による防除方法→フェノトリンが配合されたシャンプーやてんか粉
④シラミの成虫が脱落して次の宿主に伝染しやすい場所には殺虫剤を散布→寄生の拡散防止 - トコジラミ
①シラミではなくカメムシ目に属する昆虫。別名ナンキンムシ
②刺されると激しい痒痛を生じ、アレルギー反応による全身の発熱、睡眠不足、神経性の消化不良を起こすことがある。ときにペスト、再帰熱、発疹チフスを媒 介も。
③床や壁の隙間、壁紙の裏、畳の敷き合わせ目、ベッド等に潜伏
④体長が比較的大きい(成虫で約 8mm)ので、掃除機で隅々まで丁寧に吸引することによる駆除も可能 - ノミ
①吸血されたときの痒み。ペスト等の病原細菌を媒介
②ペットに寄生している→ノミ取りシャンプーや忌避剤
③ペットの寝床やよくいる場所、部屋の隅の 埃 の中などで幼虫が育つ→掃除機で吸引や殺虫剤の散布などによる駆除も - イエダニ
①ネズミを宿主
②吸血による刺咬のため激しい痒み
③発疹熱などのリケッチア、ペストなどを媒介
④防除には、ネズミ(宿主動物)を駆除することが重要
⑤散乱してしまった場合→殺虫剤による燻蒸処理 - ツツガムシ
ツツガムシ病リケッチアを媒介するダニの一種。野外に生息→生息する可能性がある場所に立ち入る際は忌避剤 - 屋内塵性ダニ(ツメダニ類、ヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ等)
①ツメダニ類・・・大量発生したときにはヒトが刺される→部位が赤く腫れて痒みを生じる
②ヒョウヒダニ類・ケナガコナダニ・・・人は刺さないが気管支喘息やアトピー性皮膚炎の原因に。
③どんな住居にも存在し、完全に駆除することは困難→一定数程度までは無害。増殖させないこと。畳、カーペット等を直 射日光下に干すなど、生活環境の掃除を十分行うことが基本
成分一覧
主にこの一覧を覚えるようにしましょう。一番重要です!
同じ殺虫成分を長期間連用せずいくつかの殺虫成分を順番に使用していく(殺虫作用に対する抵抗性が生じるのを避けるため)ことが重要です。
有機リン系殺虫成分
(共通する作用)
- アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と不可逆的に結合してその働きを阻害する
- ウジの防除
- 乳類や鳥類では速やかに分解されて排泄されるため毒性は比較的低い
- 高濃度又は多量に曝露した場合(特に、誤って飲み込んでしまった場合)には、神経の異常な興奮が起こり、縮瞳、呼吸困難、筋肉麻痺等の症状が現れるおそれ
ピレスロイド系殺虫成分
(共通する作用)
- 除虫菊の成分から開発された成分
- 比較的速やかに自然分解して残効性が低いため、家庭用殺虫剤に広く用いられている
- 神経細胞に直接作用して神経伝達を阻害する
カーバメイト系殺虫成分
(共通する作用)
- アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と可逆的に結合してその働きを阻害する
- ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除に用いられる
- 有機リン系殺虫成分に比べて毒性は低い
オキサジアゾール系殺虫成分
(共通する作用)*カーバメイト系殺虫成分と同じ
- アセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)と可逆的に結合してその働きを阻害する
- ピレスロイド系殺虫成分に抵抗性を示す害虫の駆除に用いられる
- 有機リン系殺虫成分に比べて毒性は低い
有機塩素系殺虫成分
(共通する作用)
- かつて広く使用され、感染症の撲滅に大きな効果を上げたが、残留性や体内蓄積性の問題から、現在ではオルトジクロロベンゼンのみが使われている
- ウジ、ボウフラの防除の目的で使用されている
- 神経細胞に対する作用
- ジフルベンズロン
(脱皮時の新しい外殻の形成を阻害して、幼虫の正常な脱皮をできなくする)
忌避成分(忌避剤)
(作用)
- 医薬品(又は医薬部外品)の忌避剤(虫除け)→ディートが最も効果的で効果の持続性も高い
- その忌避作用は、虫が一般にこの物質の臭いを嫌うためと考えられているが、詳細は分かっていない
- 神経毒性が示唆されている
- 生後6ヶ月未満の乳児:使用しない
- 6ヶ月〜2歳未満:1日1回(顔面に使用しない)
- 2歳〜12歳未満:1日1~3回(顔面に使用しない)
剤形の種類
試験で問われる可能性があるので列記してます。ここは軽く流す程度でいいでしょう。
- スプレー剤
空間中に噴霧(原液を水で希釈)
①直接噴射して殺滅
②害虫が潜んでいる場所や通り道に吹き付ける(残留噴射)
③部屋を閉め切って噴射し、室内にいる虫を殺滅させる(空間噴射) - 燻蒸剤
①容器中の医薬品を煙状(霧状)にして一度に全量放出
②霧状ものは、煙状ものに比べて噴射された粒子が微小→短時間で部屋の隅々に
③処理完了まで締め切ること - 毒餌剤(誘因殺虫剤)
①ゴキブリを誘引する成分→マット状、ペレット状、ペースト状
②害虫が摂食したときに殺虫効果を発揮 - 蒸散剤
加熱したとき又は常温で徐々に揮散→一般の家庭で使用されることは少ない - 粉剤
殺虫成分を粉体に吸着させたもので、主にダニやシラミ、ノミの防除 - 粒剤
殺虫成分を基剤に混ぜて粒状にしたもので、ボウフラの防除 - 乳剤・水和剤
包装単位が大きい製品が多い→地域ぐるみの害虫駆除で使用 - 油剤
噴射器具を必要とし包装単位が大きい製品が多い→般の家庭で使用されることはほとんどない