咳止め・痰を出しやすくする薬(鎮咳去痰薬)に配合される成分の一覧を作りました。各成分には必要最低限押さえておきたいキーワードを箇条書きしています。詳しい説明やイラストはリンクからご覧ください。
スポンサーリンク
咳や痰が生じる仕組み、鎮咳去痰薬の働き
- 気管や気管支に何らかの異変が起こったとき(異物が排出されない、誤飲、冷たい空気を吸い込んだ等)に、その刺激が中枢神経系に伝わり、延髄にある咳嗽中枢の働きによって反射的に咳が出る
- 咳はむやみに抑え込むべきではないが、長く続く咳は体力の消耗や睡眠不足をまねくなどの悪影響もある
- ①呼吸器官に感染を起こした
②空気が汚れた環境で過ごした
③タバコを吸いすぎた
上記①〜③の原因などで、気道粘膜からの粘液分泌が増え、その粘液に気道に入り込んだ異物や粘膜上皮細胞の残骸などが混じって痰になる - 痰が気道粘膜上に滞留すると呼吸の妨げとなるため、反射的に咳が生じて痰を排除しようとする
- 気道粘膜に炎症を生じたときにも咳が誘発され、また、炎症に伴って気管や気管支が収縮して喘息(息が切れて、喉がゼーゼーと鳴る状態)を生じることもある
- 鎮咳去痰薬は、咳を鎮める、痰の切れを良くする、また、喘息症状を和らげることを目的とする
- 錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、内用液剤、シロップ剤等のほか、口腔咽喉薬の目的を兼ねたトローチ剤やドロップ剤がある
・・・以上、成分一覧の前に咳、痰の仕組みなどをまとめました。トーハンで接客することも多い薬でもあるので、改めてまとめると勉強になります。
では↓から成分一覧です。
麻薬性鎮咳成分
*延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑える
- コデインリン酸塩(ジヒドロコデインリン酸塩)
①モルヒネと同じ依存性(倦怠感、虚脱感、多幸感)
②分娩時、授乳中_禁止
③妊娠中の人_注意
④眠気、便秘_副作用
非麻薬性鎮咳成分
*延髄の咳嗽中枢に作用して咳を抑える
- ノスカピン
@ - デキストロメトルファン臭化水素酸塩
トローチ剤・ドロップ剤に配合
@ - チペピジンヒベンズ酸塩
@ - ジメモルファンリン酸塩
@ - クロペラスチン塩酸塩(フェンジゾ酸塩)
@ - ハンゲ
生薬
アドレナリン作動成分
*交感神経系を刺激して気管支を拡張させる作用を示し、呼吸を楽にして咳や喘息の症状を鎮める
①心臓病、高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害の人、前立腺肥大による排尿困難の人_禁止
②高齢者_注意
- メチルエフェドリン塩酸塩(サッカリン塩)
①依存性あり
②授乳中の人_注意
@ - マオウ
①依存性あり
②発汗促進、尿量増加(利尿)も期待
@ - トリメトキサノール塩酸塩
@@ - メトキシフェナミン塩酸塩
キサンチン系成分
*自律神経系を介さずに気管支の平滑筋に直接作用して弛緩させ、気管支を拡張
- ジプロフィリン
①甲状腺機能障害、てんかんの人_注意(中枢神経系を興奮)
②動悸_副作用
去痰成分
*(a)気道粘膜からの粘液の分泌を促進
*(b)痰の中の粘性タンパク質を溶解・低分子化して粘性を減少
- エチルシステイン塩酸塩
@ - メチルシステイン塩酸塩
@ - カルボシステイン
粘液成分の含量比を調整し痰の切れを良くする
*(c)分泌促進作用・溶解低分子化作用・線毛運動促進作用
抗炎症成分
*気道の炎症を和らげる
- トラネキサム酸
凝固した血液を溶解されにくくする働きもある_血栓のある人_注意
@ - グリチルリチン酸
①化学構造がステロイド性抗炎症成分に類似
②大量に摂取_偽アルドステロン症のおそれ
③むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者_1日最大服用量40mg 以上の製品は注意
④1日摂取量が 200mgを超えないよう用量が設定
@ - カンゾウ
①グリチルリチン酸が含まれる(上記参照)
②むくみ、心臓病、腎臓病又は高血圧のある人や高齢者_1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品は注意
③どの人でも_1日最大服用量がカンゾウ(原生薬換算)として1g以上の製品は長期連用しない
抗ヒスタミン成分
*アレルギーに起因する咳や喘息、気道の炎症の緩和→鎮咳成分・気管支拡張成分・抗炎症成分の働きを助ける
(副作用)
①痰が出にくくなる→痰の切れを良くしたい場合は併用に注意
②眠気
③抗コリン作用も示す→排尿困難、口渇、眼圧上昇、便秘