登録販売者試験の薬の成分についてまとめていきます。今回は胃腸鎮痛鎮痙薬(ちんつうちんけい)について説明します。
胃腸鎮痛鎮痙薬の役割りは、胃痛、腹痛、さしこみ、胃酸過多、胸やけ等の症状を緩和するものです。広い意味では胃薬のうちの一つですが、手引きでは一つの大分類とされていますので、当ブログでもそれに従って説明します。
スポンサーリンク
目次
抗コリン成分
急な胃腸の痛みは、主として胃腸の過剰な動き(痙攣:けいれん)によって生じます。消化管の運動は副交感神経系の刺激によって亢進し、また、副交感神経系は胃液分泌の亢進にも働きます。これが、胃腸の痛みの原因でもあるんです。
そのため、アセチルコリン(副交感神経の伝達物質)の働きを抑える抗コリン成分が、その効果を期待され用いられます。
ロートエキス、メチルオクタトロピン臭化物、ブチルスコポラミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、ジサイクロミン塩酸塩、オキシフェ ンサイクリミン塩酸塩、チキジウム臭化物
抗コリン成分だけあって種類が多い(~_~;)とりあえず、全成分の共通点、次に特徴があるものについて書きます。
特徴
- 胃痛、腹痛、さしこみ(疝痛:せんつう[発作性の間欠的な痛み]、 癪:しゃく[胸部や腹部に生じる激しい痛み])を鎮めること(鎮痛鎮痙)のほか、胃酸過多や胸やけに対する効果も期待される。
- 副交感神経系の働きを抑える作用は消化管に限定されない→散瞳による目のかすみ、異常な眩しさ、顔のほてり、頭痛、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の抗コリン成分の副作用 →排尿困難の人、心臓病・緑内障の人、高齢者は注意。
- ロートエキス、メチルオクタトロピン臭化物は、授乳婦は使用をさける(吸収された成分の一部が母乳中に移行するおそれ)。
- スコポラミンは、他の抗コリン成分よりも脳に移行しすく、代謝もされやすい(作用の持続時間が短い)。
抗コリン成分、それにロートエキスは胃薬の成分まとめ・覚え方②胃液分泌抑制成分でも紹介しましたね。副作用についてはほぼ同じでしょう。
抗コリン成分は、色んな薬で使われるので理解しやすい分類ですが、抗コリン成分の個々の成分はそれなりに種類が多いです。
イラストでは胃腸鎮痛鎮痙薬の抗コリン成分をすべてキャラクターにしました。
右上から(※「◯○臭化物」等を入れたら覚えにくいので略してます)
ロートエキス→ロート根
メチルオクタトロピン→トロピカルジュース
スコポラミン→スピードスター(※効き目が早いが持続時間が短いことを表してます)
ジサイクロミン、オキシフェンサイクリミン→サイクロン
チキジウム→チキン
メチルベナクチジウム→ベロ(舌)、口
ロートエキスとスコポラミンが抗コリンなのは大体に人が理解しているんじゃないでしょうか?しかし、それ以外はここしか登場からイマイチピンとこない・・。
語呂合わせでもなんでもないんですが、種類が多かったのでなんとなくでもいいから頭に入れ込みたいなーっと思い、こんなんですがイラストにしました!
平滑筋弛緩成分
パパベリン塩酸塩

特徴
- 消化管の平滑筋に直接働いて胃腸の痙攣(けいれん)を鎮める。
- 抗コリン成分ではない→胃液分泌は抑えない。
- 抗コリン作用ではないが、眼圧を上昇させる作用がある→緑内障の人は注意
パパベリンは頻出です。上記2(胃液分泌は抑えない)、3(眼圧を上昇させる作用)の”抗コリン成分との相違点・共通点”を問われることがあるので、しっかり覚えておくようにしましょう。
イラストはパパベリン→パパ(お父さん)と単純ですねw
”胃液を抑えない”、”眼圧上昇”のワードの印象を強めました。
まとめ・覚えるポイント
①胃腸鎮痛鎮痙薬の抗コリン成分は、ロートエキス、メチルオクタトロピン、スコポラミン、メチルベナクチジウム、ジサイクロミン、オキシフェンサイクリミン、チキジウム。
②抗コリン作用は消化管に限定されない→散瞳、目のかすみ、異常な眩しさ、眠気、口渇、便秘、排尿困難等の副作用→排尿困難の人、心臓病・緑内障の人、高齢者は注意。
③ロートエキス、メチルオクタトロピン臭化物→授乳中の人は使用しない。
④スコポラミンは、効き目が早く持続時間が短い(脳に移行しすく、代謝もされやすい)。
⑤パパベリンは消化管の平滑筋に直接働く→抗コリン作用ではないため、胃液分泌は抑えない→ただし、眼圧は上昇する。
※※必ず覚えよう!
というわけで以上です。みなさん、ここまでご閲覧いただきありがとうございました!