登録販売者試験に出てくる駆虫薬の成分についてまとめます。胃腸に関わる成分のまとめも今日で最後です。長かったー。
その締めくくりは駆虫薬であり、他の薬とは少し性質が違います。駆虫薬は現代社会ではあまり馴染みがない?というわけで説明していきます!
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駆虫薬とは
腸管内の寄生虫を駆除するための薬です。一般医薬品では回虫と蟯虫(ぎょうちゅう)を対象としたものが扱われます。
どちらも手指や食物に付着した虫卵が口から入ることで感染します。それからは、回虫・蟯虫で害が次のように異なります。
- 回虫
孵化した幼虫が腸管壁から体組織に入り込んで体内を巡り、肺に達した後に気道から再び消化管内に入って成虫となる→腹痛や下痢、栄養障害等の消化器症状や、呼吸器等にも障害を引き起こすことがある。 - 蟯虫
肛門から這い出してその周囲に産卵する→肛門部の痒みやそれに伴う不眠、神経症を引き起こすことがある。
小学校の頃、蟯虫検査ってありましたよね、天使のマークのシール?みたいなもの。それをお尻にピタッと貼り付ける。蟯虫が肛門から這い出し産卵することを知ると理解できますね〜。
駆虫薬は腸管内に生息する虫体のみに作用し、虫卵には効果はありません。成虫になった頃に使用する必要があり、1ヶ月以上間隔をおいてから再度使用します。また、家族全員で使用することが望まれます(感染経路的に)。
複数の駆虫薬を使用しても効果は高まらず、逆に駆虫作用が弱くなったり、副作用が強くなったりとマイナス効果です。
食事をから使用すると、消化管内容物の消化・吸収に伴って駆虫成分の吸収が高まること(副作用が生じやすくなる)から、空腹時に使用をするものが多いです。また、ヒマシ油と併用すると同様の理由で副作用が生じやすくなるため、ヒマシ油との併用はさけましょう。
・・まあ、このあたりの説明はなんとなく常識的に理解できると思います。
サントニン

特徴
- 回虫の自発運動を抑える→虫体を排便とともに排出。
- 肝臓で代謝される→肝臓病の人は医師等に相談。
- 一時的に物が黄色く見えたり、耳鳴り、口渇の副作用あり。
サントニン→サント忍・・って忍者にしてみました(笑)頭には”3(サン)”マークがあるのがサント忍です!回虫の運動を抑えることが特技!
抑えているニョロニョロしたやつは回虫です。実際の回虫と形が違うかも?ですが、わかりやすくするために顔を「回」の字にしています(๑╹ω╹๑ )
カイニン酸

特徴
- 回虫に痙攣を起こさせる→虫体を排便とともに排出。
- マクリ(フジマツモ科のマクリの全藻を基原とする生薬)が配合されている場合もある。
カイ忍(カイニン酸)は手裏剣を命中させ、回虫を痙攣させるよ!
ピペラジンリン酸塩

特徴
- アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫の運動筋を麻痺させる→虫体を排便とともに排出。
- 副作用として痙攣、倦怠感、眠気、食欲不振、下痢、便秘等が現れることがある。
- 痙攣のある人、貧血、栄養障害の診断を受けた人は悪化を招くおそれ→医師等に相談。
- 肝臓病、腎臓病の人は吸収されて循環血液中に移行したピペラジンが滞留して副作用を生じやすくなるおそれ→医師等に相談。
ピペラジンリン・・なんとなーく、ピペラ人(星人)という異星人的なキャラクターのつもりです(・_・;
ピペラ人が回虫と蟯虫(ギョウ虫だから”ギ”の形)を捕獲し、コリンちゃん(アセチルコリン)との伝達をシャットアウトする!というイメージ。。
パモ酸ピルビニウム

特徴
- 蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫。
- 赤~赤褐色の成分→尿や糞便が赤く着色。
- 水に溶けにくいため消化管からの吸収は少ないが、ヒマシ油との併用は避ける。
- 脂質分の多い食事やアルコール摂取は避ける。
パモ酸なんちゃらかんちゃら・・と長いので、”パモ”とだけ覚えましょう!さらに言えば、”パモは蟯虫のみ”なんてワードも追加して!
パモくんは蟯虫を殺虫します(他の成分は抑えるor痙攣されるor麻痺させる→排便だけど、パモは違う)。赤いボディーは赤色成分を表しています。
まとめ・覚えるポイント
①駆虫薬の対象は回虫・蟯虫。
②腸管内に生息する虫体のみに作用→虫卵には効果なし(1ヶ月以上あけてから再使用すること)。
③空腹時に使用するものが多い。
④サントニン(サント忍)は回虫の自発運動を抑える→
1.肝臓病の人は医師等に相談。2.ものが黄色く見える副作用がある。
※回虫のみ
⑤カイニン酸(カイ忍)は回虫に痙攣を起こさせる→マクリ(フジマツモ科のマクリの全藻を基原とする生薬)を含むことも。
※回虫のみ
⑥ピペラジンリン酸塩(ピペラ人)は回虫・蟯虫のアセチルコリン伝達を妨げ、運動菌を麻痺させる→痙攣のある人、貧血、栄養障害の診断を受けた人、肝臓病、腎臓病の人は医師等に相談。
※回虫と蟯虫の両方!
⑦パモ酸ピルビニウムは蟯虫の呼吸や栄養分の代謝を抑えて殺虫→1.尿や糞便が赤く着色。2.消化管からの吸収は少ないが、ヒマシ油との併用は避ける。
※蟯虫のみ
というわけで以上です。みなさん、ここまでご閲覧いただきありがとうございました!