九州・沖縄ブロックの平成22年度(2010年)の登録販売者試験の問題(過去問)について、第3章の漢方・生薬からの出題を解説します。
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当ページについて
- 試験問題や回答については下記の福岡県のwebサイトからこれらを確認し、解説等を作成しています。福岡県ホームページ(登録販売者試験に関するページ)*実際の過去問のPDFも無料で取得できます。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県共通した問題です。
- このページでは、漢方および生薬に関するものに焦点を当てて解説しています。従いまして、問題については一部を抜粋したものとなっております。
- 過去問の回答を含んでいますのでご了承の上閲覧ください。
- 平成22年度の試験問題の解説のため、試験作成に関する手引き(平成 28 年 3 月正誤表反映版)に記載のある言い回し(漢方の説明など)とは若干異なる点がある場合がございます(誤りではありません)。それぞれの漢方や生薬のリンクページに記載のあるものは、試験作成に関する手引き(平成 28 年 3 月正誤表反映版)に基づいて解説しているものとなっていますので、気になる場合にはそちらをご参照ください。
漢方・生薬 問題の出題傾向
漢方・生薬から9問出題されています。
そのうち、全問漢方についての問いが3問出題、全問生薬についての問いが3問、その他項目を合わせた複合問題が3問でした。
出題自体はかなり少ないですね。ですが、全問生薬のものが多く、問71は薬効と基原名の両方を覚えておかないと解けない問題だったので難しいものもありました。
下記のページでも漢方の出題パターンをまとめていますので、よかったらご活用ください!試験で漢方・生薬を捨てるのはもったいないですので、苦手意識のある方も是非^ ^
問65(全問漢方)
以下の記述にあてはまる漢方処方製剤を下から一つ選びなさい。
かぜのひき始めから数日たって微熱があり、寒気、頭痛、吐き気がする等のかぜの後期の症状に適すとされている。
正答 1
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)の記述です。
手引きでは葛根湯(かっこんとう)、桂枝湯(けいしとう)はかぜの初期に、麻黄湯(まおうとう)はかぜのひきはじめと記述がありますのでこれらは除外できますね。小青竜湯(しょうせいりゅうとう)には時期についての記述はありませんが、”うすい水様の痰を伴う咳や鼻水”というキーワードが含まれることが多いです。
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)がどんなものだったのか忘れたときでも、ほかの漢方を覚えておくとこのように消去法でも正解を割り出せます!
問71(全問生薬)
鎮咳去痰薬に配合される生薬成分と起源及び作用に関する以下の組み合わせについて、誤っているものを一つ選びなさい。
生薬成分 -起源及び作用
- キキョウ -キキョウ科のキキョウの根を用いた生薬で、 痰又は 痰を伴う咳 に用いられる。
- セネガ -ヒメハギ科のセネガ又はその同属植物の根を用いた生薬で、鎮咳 作用を期待して用いられる。
- ナンテンジツ – メギ科のナンテンの果実を用いた生薬で、知覚神経・末梢運動神経に作用して 咳止めに効果があるとされる。
- キョウニン– バラ科のアンズの種子を用いた生薬で、体内で分解されて生じた代謝物の一部が延髄の呼吸中枢、咳嗽中枢を鎮静させる作用を示すとされる。
正答 2
セネガはヒメハギ科のセネガ又はその同属植物の根を用いた生薬という記述は正しいですが、”去痰作用”を期待して用いられます。従って、鎮咳作用というこの問題は間違いです。個人的にはかなり難しい問題です。
問74
胃の薬に配合される成分とその作用の関係について、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
成分–作用
ア)ジアスターゼ- 抗炎症作用
イ)テプレノン-消泡作用
ウ)ロートエキス– 胃液分泌抑制作用
エ)アズレンスルホン酸ナトリウム – 胃粘膜保護・修復作用
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)
正答 4
ウ)ロートエキスは正しい記述です。
問76
腸の薬に配合される成分と作用の関係について、正しいものの組み合わせを下から一つ選びなさい。
成分-作用
ア)クレオソート-整腸作用
イ)センナ-止瀉作用
ウ)ビサコジル-瀉下作用
エ)カルメロースナトリウム-瀉下作用
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
正答 4
ウ)ゴオウは、シカ科のシベリアジカ、マンシュウアカジカ等の雄の幼角を用いた生薬で、強心作用の他、強壮、血行促進等の作用があるとされる。
エ)ロクジョウは、ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石を用いた生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。
1(ア、イ) 2(ア、ウ) 3(イ、エ) 4(ウ、エ)
正答 1
問82(全問生薬)
以下の生薬成分のうち、新陳代謝促進、殺菌、抗炎症等の作用を期待して外用痔疾用薬として用いられるものを一つ選びなさい。
正答 3
シコンの記述です。これ以外にも口内炎用薬(外用)の成分として組織修復促進、抗菌等の作用を期待して用いられることもあります。
他の生薬については各リンク先のページをご覧下さい。
問83(全問漢方)
以下の記述にあてはまる漢方処方製剤を下から一つ選びなさい。
虚弱体質で肩がこり、疲れやすく、精神不安等の精神神経症状、ときに便秘の傾向のある女性における冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症に適すとされるが、胃腸の弱い 人では悪心(吐き気)、嘔吐、胃部不快感、下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害を生じることが知られている。
正答 2
加味逍遙散(かみしょうようさん)の記述です。キーワードは”精神不安等の精神神経症状”です。他の漢方も婦人薬や更年期障害などに適応があるものなので、少し割り出しが難しいかも。
他の漢方については各リンク先のページをご覧下さい。
問94
頭皮・毛根に作用する配合成分に関する以下の記述のうち、正しいものの組み 合わせを下から一つ選びなさい。
ア)安息香酸エストラジオールは、適用局所においてコリン作用を示し、頭皮の血管を拡張、毛根へ の血行を促すことによる発毛効果を期待して用いられる。
イ)女性ホルモンによる脱毛抑制効果を期待して、塩化カルプロニウムが配合される場合がある。
ウ)カシュウは、タデ科ツルドクダミの塊根を用いた生薬で、頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用を期待して用いられる。
エ)ヒノキチオールは、ヒノキ科のタイワンヒノキ、ヒバ等から得られた精油成分で、抗菌、血行促進、抗炎症などの作用を期待して用いられる。
1(ア、イ) 2(ア、エ) 3(イ、ウ) 4(ウ、エ)
正答 4
問98(全問漢方)
以下の記述に当てはまる漢方処方製剤を下から一つ選びなさい。
腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな人における、高血圧の随伴症状(動悸、肩こり、のぼせ)、肥満症、むくみ、便秘の症状に適すとされるが、体の虚弱な人(体力の衰えている人、体の弱い人)、胃腸が弱く下痢しやすい人、発汗傾向の著しい人では、激しい腹痛を伴う下痢等の副作用が現れやすい等、不向きとされる。また、小児に対する適用はない。また、本剤を使用するときには、他の下薬との併用は避けることとされている。